Log撮影の基本と魅力|Vlogを彩る“色編集”の第一歩

こんにちは、かずです。
今回は、カメラ設定での「Log撮影」について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
「Logって何?」「難しそうだけど、使った方がいいの?」という方に向けて、僕自身が使ってみて感じたこと、メリット・デメリット、そして設定のコツなどをお伝えしていきます。
Log撮影ってなに?
Log撮影とは、簡単に言えば「色やコントラストをできるだけ抑えて撮影し、あとで自分好みに色づけする」スタイルの撮影方法です。
通常の撮影では、カメラが明るさや色味を自動で調整し、その場で“完成された映像”を記録します。しかしLog撮影では、あえて色味やコントラストを抑えた“フラットな映像”として記録することで、あとから自由に編集できる余地を残します。
この方法の最大の特徴は「あとから色を足す前提で撮る」という点。光や色の情報をなるべく多く残し、白飛びや黒つぶれを防ぎながら、編集時に思い通りの雰囲気を作り出すことができます。
たとえば、以下の画像をご覧ください。
- 上が「Log撮影」した直後の映像(編集前)
- 下が色味を加えて編集した映像(グレーディング後)

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Log撮影は、「あとで色を作る楽しさ」や「作品としての完成度を上げたい」と考えている方にぴったりな撮影手法です。
Sonyの代表的なLog形式とその特徴

Log撮影といっても、Sonyのカメラにはいくつかの種類の「Log形式」が用意されています。それぞれに特徴があり、目的や撮影技術に応じて使い分けることができます。
S-Log3(エスログスリー)
SonyのLog撮影の中で最も編集耐性が高く、非常に広いダイナミックレンジ(明るさの幅)を記録できます。
- 白飛び・黒つぶれを防ぎやすく、明暗差のあるシーンに強い
- カラグレ(色編集)の自由度が非常に高い
- ただし、最低ISO感度が高く(800や)ノイズが出やすいため、撮影環境や編集スキルがある程度必要です
- プロ向けの映像制作に近づけたい人向け
Cine(Cine2やCine4など)
Logよりも若干コントラストや色味が乗っているプリセットで、Sonyのピクチャープロファイル(PP)から選べます。
- ISO感度を低めに設定できるため、ノイズが出にくく扱いやすい
- 撮影直後の映像でもある程度“見られる色”がついていて、初心者でも扱いやすい
- Logのような大がかりなカラグレをしなくても、少しの調整で雰囲気のある映像が作れる
「Log撮影に挑戦してみたいけど、いきなりS-Logは難しそう…」という人は、まずこのCine系から試すのが良いと思います。
HLG(Hybrid Log Gamma)
HDR(ハイダイナミックレンジ)対応のLog形式で、特にYouTubeやテレビなどHDR対応デバイスとの相性が良いのが特徴です。
- 撮影してそのままでも綺麗に見えやすい
- HDR再生環境では非常にリアルで立体的な映像が楽しめる
- S-Logよりもやや簡易的で、編集を前提にしない使い方も可能
- ただし、通常のSDRモニターでは色が薄く見えることがあるので注意
Log撮影のメリットとは?
Log撮影には、普通の撮影(スタンダードなピクチャープロファイル)にはない、いくつもの魅力があります。
1. 映像のダイナミックレンジが広がる
Log撮影の最大の強みは、白飛びや黒つぶれを抑えて、明暗の情報をしっかり残せること。
特に以下のようなシーンでは素晴らしい描写をしてくれます
- 日没時の空のグラデーション
- 逆光で被写体が暗くなりやすい状況
- 明るい屋外から室内へ移動したときの露出差
人の目に近い、自然な明暗の再現が可能になります。
2. 色の自由度が圧倒的に高い
Logで撮った映像は「フラット」で薄い色味ですが、編集で自由自在に“自分好みの色”に仕上げることが可能です。
- ビビッドで鮮やかな色味
- フィルムライクなシネマティック表現
- モノトーンやトーン抑えめの落ち着いた雰囲気
など、カメラ任せでは難しい「自分好みの色表現」ができます。
3. 映像全体の統一感を出せる
旅Vlogでは、複数日にわたって撮影することが多く、天候や時間帯によって色味や明るさがバラつきやすいのが悩みの一つです。
また、別の旅や動画であっても「自分らしい世界観」や「この人の動画だと分かる雰囲気」を表現したい、という方も多いと思います。
Log撮影なら、後から同じLUT(色味のプリセット)を当てるだけで、全体のトーンや雰囲気を統一することができるので、シリーズとしての一貫性や“作品感”がグッと高まります。
Log撮影のデメリット・注意点

1. 編集ありきの撮影になる
Log映像は、そのままだと「白っぽい」「のっぺり」していて、“完成映像”には見えません。
必ず編集ソフトでカラーグレーディング(色編集)が必要になります。編集前提の撮影なので、時間や多少の技術や知識が必要です。
2. 露出設定がシビア
S-Log3などは、白飛びや黒つぶれの耐性が高いとはいえ、撮影時の露出が適正であることが大前提です。
- 露出オーバー → ハイライトが完全に飛んで編集でも戻らない
- 露出アンダー → 持ち上げるとノイズが目立つ
Log撮影は「後から調整できる」とはいえ、素材が良くないと色編集ではどうにもできないこともあります。
実際に僕自身の動画でも明るさが足りずにノイズの多い映像になり、使えない素材も沢山あります。
3. ファイルサイズがやや大きくなることも
Log撮影自体ではファイル形式が変わるわけではありませんが、色階調の情報量が多いため、10bit収録や高ビットレート記録を使うことが多く、ストレージの消費が増える傾向があります。
初心者におすすめの始め方
「Log撮影に興味はあるけど、何から始めたらいいの?」という方に向けて、段階的に慣れていく方法をご紹介します。いきなりLog撮影でも大丈夫ですが、心配性なあなたへ。笑
Step 1:まずは「Cine2」でLog風の映像に慣れる
Logよりも扱いやすいのがCine2(PP6など)です。最初から少しコントラストと色味が乗っていて、「編集なしでもなかなか良い」画になります。
- ISO感度も低く設定できてノイズが出にくい
- 撮って出しでもある程度きれい
- Logよりも露出の許容範囲が広め
Logへのステップアップとして最適です。
Step 2:LUTを使って色編集の敷居を下げる
Log撮影では、LUT(Look-Up Table)という色のプリセットを当てるだけで、簡単に“それっぽい映像”に仕上げることができます。
- S-Log3用のLUTを使えば、数クリックで色味が完成
- 自分好みのLUTを探すのも楽しみのひとつ
編集の敷居が高いと感じていた人も、LUTを使えばLogの魅力を手軽に体験できます。
Step 3:Logでしか撮れない場面で挑戦してみる
夕景のグラデーション、明るい窓越しの室内、逆光の風景など、通常のピクチャープロファイルでは白飛び・黒つぶれしてしまうような場面こそ、Log撮影の出番です。
「この映像をしっかり残したい」と思う場面から、少しずつLogを取り入れてみるのが◎です。
Log撮影が向いているシーンとそうでないシーン

向いているシーン
- 夕日や夜景などの「光のグラデーションが美しい場面」
- 室内と屋外の明暗差が大きいシーン
- 編集で作品っぽく仕上げたい場合
向いていないシーン
- テンポよく撮影・公開したい旅Vlogや日常Vlog
- 撮ってすぐスマホに転送して使いたいケース
- 編集が苦手・時間が取れない場合
Logは「作品として仕上げたい」映像にこそ真価を発揮します。気軽な撮影には、クリエイティブルックやCineプロファイルでも十分綺麗な映像になります。
まとめ|Logは“色編集を楽しみたい人”におすすめ
- Log撮影は、映像編集の自由度・表現力を大きく広げてくれる
- ただし、露出設定や編集スキルも必要になる
- 初心者はCine2やLUTを活用しながら、少しずつ慣れていくのが◎
- 自分の撮りたい映像やスタイルに合った活用がカギ
“ただの記録”ではなく、“伝わる映像”を残したい方にとって、Log撮影は大きな武器になります。
ぜひ一歩踏み出して、自分だけの色と世界観を作る楽しさを体験してみてください!
ちなみに、僕はいきなりLog撮影から始めましたが「大丈夫」だと思っています。笑
それでは、また次の記事でお会いしましょう!