なぜ動画用カメラは低画素が多いのか?高画質時代の正しいカメラの選び方
こんにちは、かずです。
今回の記事では、「動画用カメラの画素数はどう選べばいいのか?」というテーマでお話しします。
初めて本格的なカメラを買おうとした時、きっと多くの人が

画素数は多いほうが絶対キレイでしょ?
と思うはずです。
スマホの広告でも「○○万画素!」と大きく書かれていますし、画素数=画質の良さだと考えるのは自然なことです。
ところが、カメラのスペックを見ていくと 6000万画素・5000万画素といった高画素カメラの中に、1210万画素という“明らかに数字が低いモデル”が混ざっています。
しかもそれがシネマカメラ(=動画向けの上位機種)と書かれている…。

え?動画の方が高画質が必要なんじゃないの?
1210万画素って、なんかしょぼくない?
って思いませんか?
でも実際にVlogを撮り続けて気付いたのは、
動画では画素数が多いことが正解とは限らない
という事実です。
実際ソニーの動画機では 1210万画素(α7Sシリーズ / FX3) が多く採用されています。
僕が今メインで使っているα7C IIは約3300万画素の動画も写真も両方こなせるタイプです。
この “1210万 vs 3300万” の違いには、しっかりとした理由と狙いがあり、用途によってどちらが最適かは大きく変わります。
この記事では、その答えを初心者の方にもわかりやすく解説しながら
✅ なぜ動画用カメラは低画素が多いのか?
✅ 高画素カメラとの違いと向き不向き
✅ 初めての1台として何を選ぶべきか
まで1記事でスッキリ理解できるようにまとめました。
あなたがこれから買う1台で後悔しないために、ぜひ続きを読み進めてみてください。
4Kに必要な画素数は「830万」しかない

まず大前提として知ってほしいのはこれです。
| 種類 | 必要画素数 |
|---|---|
| 4K動画 | 約830万画素 |
| フルHD | 約200万画素 |
| 静止画 | 1200万〜6000万は自由 |
綺麗な動画といえば4Kと思い浮かべますが、画素数にすると4Kは約830万画素です。
つまり4K動画を撮るだけなら、1210万画素で十分すぎるわけです。
なぜ低画素が動画向きなのか?

そして動画用カメラで大事なのは次の3つです。
- 暗所に強いこと
- 歪み(ローリングシャッター)が少ないこと
- 熱に強いこと
そしてこの3つは、画素数が少ないほど有利になります。
理由はシンプルで、同じフルサイズセンサーでも画素数が増えるほど「1画素あたりの光を受ける面積(=画素ピッチ)」が小さくなるからです。

画素ピッチが小さくなると
- 受けられる光が減る → 暗所に弱い
- ノイズが増えやすい → 映像がザラつく
- 読み出し速度が遅くなる → 歪みが出やすい
- 処理が重くなる → 熱が溜まりやすい
つまり “高画素=写真向き” / “低画素=動画向き” という構図がここで生まれます。
低画素と高画素の違い(動画という視点だけで比較)
| 項目 | 低画素(約1200万) | 高画素(3300万〜6000万) |
|---|---|---|
| 暗所耐性 | ◎ 強い | △ ノイズが増えやすい |
| ローリング歪み | ◎ 少ない(読み出しが速い) | △ 歪みが出やすい |
| 熱への強さ | ◎ 発熱しにくい | △ オーバーヒートしやすい |
結果として 動画に特化したいメーカーは、あえて低画素を採用しているというわけです。
だからこそ、ソニーのFX3やα7Sシリーズが1210万画素なのは数字がしょぼいからではなく、「動画に最適化した設計」という明確な意図があるのです。
低画素センサーは「ローリングシャッター耐性が高い」
多くのミラーレス機はローリングシャッター方式を採用しており、これはセンサーを上から順番に読み取っていく方式です。そのため、
- パンしたときに電柱が斜めに傾く
- 速い被写体が歪む
- 動画の動きが「グニャッ」とする
といった現象(ローリングシャッター歪み)が起こります。

この原因はセンサーの読み出し速度にあります。
動画撮影時、カメラは「一気に全画素を読み取っているわけではなく、上から順番に走査して読み出している」ため、読み出しに時間がかかるほど動体は歪みやすくなります。
ここで問題になるのが「画素数」です。
画素数が多いほど、読み出さなければならない情報量が増える → 読み出しが遅くなる → 歪みが出やすいとなります。
逆に低画素は…
- 処理すべきデータ量が少ない
- 読み出しが速い
- 動きのあるシーンでも歪みにくい
そのため 動画機は1210万画素のような低画素を採用し、歪み耐性を高めているというわけです。
高画素は熱に弱い?(=オーバーサンプリングの負荷)
次は熱の問題です。
最近の3300万画素や6000万画素のカメラが4K動画を撮る場合、ただ4K分の画素を使うわけではありません。
多くの場合、6Kや7K分の映像を一度読み取り → 4Kに縮小(オーバーサンプリング処理)しています。

これにより 高精細でシャープな4K映像が得られるというメリットがありますが、同時にデメリットも発生します。
- センサーの読み出し負荷が大きい
- 映像処理エンジンの負荷も上がる
- データの発生量が桁違い
- 結果 → 熱が溜まりやすい
つまり、高画素の4K撮影 = “6K動画を撮って4Kに変換しているようなもの” → 熱いし重い
一方で 低画素(例:1210万)ならオーバーサンプリングが不要な場合が多く、処理が軽い → 熱にも強い → 長時間収録が安定というメリットにつながります。
逆に写真では高画素が圧倒的に有利

一方で静止画では話が真逆になります。
高画素であるほど、
- 解像感が上がる
- トリミング耐性が高い(構図の自由度が上がる)
- 風景や人物の立体感・情報量が増す
特に 風景・星景・作品撮り・商用写真 の分野では、高画素の恩恵が極めて大きいのが現実です。
写真は「1枚で完結する表現」なので、とにかく情報量=画素数が正義になりやすい世界です。
結論:初めての人は“どっちつかず”が正解
ここがこの記事で一番伝えたい部分です。
僕は動画目的でカメラを買いました。
しかし使っていく中で、
「あれ?写真ってめちゃくちゃ楽しいじゃん」
と気づきました。
今では動画と写真を半々くらい撮ります。そんな僕にとって α7C II(約3300万画素)という“中画素センサー”はベストな選択でした。
- 動画 → 十分キレイに撮れる
- 写真 → 高精細で楽しめる
- どちらかに飽きても路線変更できる(笑)
ほとんどの初心者は、買う前から自分のスタイルなんて決めきれません。
だからこそ、最初の1台は「中画素の両立型」が後悔しない選択だと思っています。
用途別のおすすめ画素数
| タイプ | 特徴 | おすすめ画素 |
|---|---|---|
| 動画特化 | 歪みに強い/暗所に強い | 1200万前後(FX3 / α7S系) |
| 両立型(初心者の最適解) | 動画・写真どちらも高水準 | 2400〜3300万(α7IV / α7C II) |
| 写真特化 | 作品撮り・風景重視 | 4500万以上(α7R系) |
まとめ
- 4K動画に画素数はそこまでいらない → 数より読み出し速度・センサー性能
- 動画は低画素が有利
- 写真は高画素が有利
- 初めての1台は“中画素”が一番後悔しない
もし今あなたが、「自分は動画に行くのか、写真に行くのか、まだわからない…」
という状態なら、僕は迷わず 両立型を推します。
そしてカメラをもっと好きになったら、違うカメラを買ってどんどんと沼っていきましょう!
それではまた、次の記事でお会いしましょう!
